40歳以上の約40%が「虫歯」によって歯を失っている事実をご存じですか?*1

虫歯というと、「歯の痛み」や「穴が開くこと」を想像している方も多いことでしょう。しかし、それだけが虫歯ではありません。虫歯は、虫歯菌の作り出す「酸」によって歯の成分が少しずつ溶け出していくことで進行していきます。
そのため、穴が開く前の「痛みのない虫歯」もありますし、逆に神経が食いつくされるほど進行すると「痛みがなくなる虫歯」もあります。虫歯は進行して大きくなるほど、治療時の歯へのダメージも大きくなります。

虫歯は一度なると自然には治りません。できるだけ早期発見・早期治療をして、歯の健康を保ちましょう。

*1:(参考)厚生労働省 e-ヘルスネット|大人のむし歯の特徴と有病状況
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-003.html

こんな方はご来院ください

虫歯のセルフチェック

  • 歯の溝が茶色や黒くなっている
  • 歯の表面がザラザラしている
  • 冷たいものがしみる
  • 過去に虫歯になって、保険診療の詰め物をした
  • 歯に穴が開いている
  • 毎日甘い食べ物や飲物を摂る
  • フロスや歯間ブラシなどを使わない
  • 歯磨きをするタイミングがバラバラ
  • 食べ物がよく挟まる
  • 半年以上、定期検診に行っていない
  • 詰め物が取れたが、そのままにしている

虫歯ができる原因

脱灰と再石灰化のバランスの乱れ

お口の中は、食事をするとミュータント菌などの虫歯菌が作り出す酸により歯の成分が溶け出す「脱灰(だっかい)」と、失われた成分が唾液によって修復される「再石灰化」を常に繰り返しています。しかし、「だらだらと食べる」「きちんと歯を磨けていない」「寝る前の間食」など脱灰・再石灰化のバランスが崩れ脱灰状態が続くと、虫歯になります。

二次虫歯

治療した部分の内部に虫歯が再発することを「二次虫歯(二次カリエス)」と呼びます。過去に行った虫歯治療での詰め物や被せ物・接着剤が劣化することで隙間が生まれ、そこに細菌が入り込むことが原因です。特に保険治療で銀歯などの金属製詰め物・被せ物をしている方に発症しやすく、大人虫歯の主な原因となっています。
過去に虫歯部分よりも深く削って治療していることが多いため、虫歯菌がより奥に進行しやすいことや、治療で詰め物・被せ物をしているので外から虫歯に気づきにくいといった特徴があります。また、神経を抜いている場合には痛みを感じないので、より気づくのに遅れる傾向があります。

虫歯のできやすい場所

  • 奥歯の噛む面
  • 歯と歯の間
  • 歯と歯肉(歯ぐき)との境目
  • 歯が重なっている所
  • 歯の根の部分
  • 詰め物や被せ物の境目

当院の虫歯治療の特徴

痛みの軽減に努めた治療

歯科医院が怖い方の理由のひとつに「治療の痛み」があります。
当院では麻酔を使って痛みに配慮した治療を行っています。また、歯ぐきの表面に麻酔ジェルを塗る「表面麻酔」を使い、麻酔注射をするときの痛みも軽減させる処置を行っています。さらに、麻酔薬を人肌に温める、一定の力で注射できる電動麻酔器を使うなど、様々な工夫を行い痛みの軽減に努めています。”

金属の詰め物をメタルフリー素材に即日修復

金属の詰め物・被せ物の下は虫歯になっていることが多く、予防も兼ねて金属を取り外してコンポジットレジンやハイブリッドセラミックなどのメタルフリー素材で丁寧に修復します。
ダイレクトボンディング(修復材を歯に直接充填する方法)で行う場合は、型取りが不要なので即日修復が可能です。

マイクロスコープで詳細な検査・治療が可能

当院では「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を使用して視診します。治療中も動画を撮影しリアルタイムで説明いたします。
マイクロスコープは肉眼の数倍~数十倍に拡大できるため、より詳細な診断・治療が可能です。肉眼では確認できない小さな虫歯・ひび割れ(クラック)の早期発見ができ、細い根管(神経の管)もしっかり確認できるので、感染源(細菌)の取り残しを減らすことができます。
また、検診中に撮影した動画は、治療後にご覧いただけますので、患者様ご自身の目でお口の中の状態を確認していただけます。

欧米基準のラバーダム防湿で治療の成功率をアップ

神経まで進行した虫歯には、被せ物をする前に根管治療を行います。根管治療では、唾液に含まれる細菌からの再感染を避ける必要があるため、当院では基本的に「ラバーダム」という薄いゴムのマスクを使用します。(実費1,000円)
欧米では根管治療のスタンダードになっていますが、国内で導入しているところはまだ少ないのが現状です。ラバーダム防湿による無菌的処置を行うことで、根管治療の成功率を高めます。
※ラバーダムを希望されない場合にも、「ZOO」という防湿用の器具(歯の周囲の唾液や呼気を吸引して乾燥する)を用いて治療します。

虫歯治療の種類

保険診療

保険診療による虫歯治療は医療費の一部を負担するだけでよいので、リーズナブルに治療をお受けいただけます(原則70歳未満:3割負担、70~74歳:2割負担、75歳以上:1割負担)。治療に使用できる歯科材料は原則「歯科用樹脂(ハイブリッドセラミックを含む)」「金銀パラジウム合金(銀歯)」と限られ、治療法にも制約があります。
保険診療では、生活上問題なく噛めるようにする「基本的な機能回復」が重視されます。近年ハイブリッドセラミック(歯科用樹脂+セラミック)によるメタルフリーの被せ物(CAD/CAM冠)もお選びいただけるようになりました。

コンポジットレジン(即日直接修復)

虫歯部分を削り、白いペースト状の歯科用樹脂(レジン)を直接、患者様の歯に詰めて特殊な光で固めます。大きな虫歯や奥歯の隣接面を含む虫歯の治療には適しませんが、歯を削る量が少なく済み、さらに金属を使用しないので金属の溶け出しによる歯ぐきの変色・金属アレルギーが起こる可能性がない・目立ちにくいなどのメリットがあります。
一方、時間が経つと、詰め物の変色や歯と詰め物との境が着色してくるデメリットがあります(経年劣化)。

メタルインレー・メタルクラウン

隣接面を含む奥歯や大きな虫歯が対象となる、金属製の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)のことです。昔から「銀歯」と呼ばれていますが、実際の素材は主に「金銀パラジウム合金」が使われています。
治療方法は虫歯部分を削り、きれいに形を整えてから型を取ります。なお、虫歯が進行して歯肉から上の部分をほとんど失っても歯根(歯肉から下の部分)を残せる場合には、人工の土台を建てから、その上に型取りします。後日、出来上がった詰め物や被せ物をはめ込み、接着剤で固定します。
メタルには安価で強度が高いメリットがある一方で、長期使用による金属の腐食・金属アレルギーリスク・歯ぐきなどへの変色・銀色で目立つなどのデメリットがあります。また、長期経過によって銀歯の内部で虫歯が再発する「二次虫歯」のリスクがあります。

CAD/CAM冠 ※一部使用に条件あり

CAD/CAM冠(キャドカムカン)は、歯科用樹脂(レジン)とセラミックを合わせた「ハイブリッドレジン」を素材にした白い被せ物のことで、厚生労働省に認可された歯科医院でのみ対応可能な治療法です。これまで一部奥歯でのみ保険診療で対応できましたが、2020年9月の診療報酬改定で前歯にも適用となったことで、ほぼすべての歯でCAD/CAM冠による「メタルフリー治療」を行えるようになりました。自費診療のセラミックなどの被せ物に比べ、強度や色味の正確性はありませんが、金属ではないことによる安全性や審美性の高さ、セラミックが含まれていることで虫歯の原因となる歯垢が付きにくいので、虫歯の再発リスクが抑えることが期待できます。

<保険対象となる部位>
・前歯(中切歯、側切歯、犬歯)
・小臼歯(真ん中の歯から4番目、5番目)
 
・大臼歯(6番目・7番目)※条件あり
※第一大臼歯(6番)については1つ奥にある第二大臼歯(7番)が上下4本残存している必要があります。4本残存していない場合でも金属アレルギーの証明があれば、第一大臼歯・第二大臼歯に適用可能です。
※歯ぎしり・食いしばりが特に強い方には不向きです。

根管治療+土台(メタル・レジン・ファイバーポストコア)+被せ物(メタル・ハイブリッドセラミック)

虫歯が神経まで達している場合、歯の神経を取って根の中(根管)を消毒した上で、土台を作り、上に被せ物をします。土台(コア)の素材には「メタルコア(金属)」「レジンコア(金属芯を樹脂で補強)」「ファイバーポストコア(ガラス繊維ポストを樹脂で補強)」の3種類があり、被せ物には「メタル」または「ハイブリッドセラミック(CAD/CAM冠)」を使用して、リーズナブルに根管治療ができます。従来、奥歯など負荷のかかる場所や深い虫歯がある部分には原則的にメタルの被せ物しか選択できませんでしたが、近年ファイバーポストコア+ハイブリッドセラミックによる「メタルフリー治療」も可能となりました。
ファイバーポストコアは従来の金属コア・レジンコアに比べて、審美性がよく、丈夫で歯の負担が大幅に減るメリットがあります。なお、土台に保険適用となるコアを選択した場合でも、被せ物にセラミックなどの自費診療素材を使う場合には、コア製作段階から「自費診療」となります。
※CAD/CAM冠の使用には一部条件があります。詳しい解説については、「CAD/CAM冠」の項目をご参照ください。

抜歯+ブリッジ ※一部適用に条件あり

欠損歯が1~3本の場合に行う歯の代替治療です。欠損歯の左右の歯を使い、橋渡しするように人工歯を作って固定します。両隣に健康な歯があることが条件で、健康な歯を土台にするために削らなければならず、削ったことによって虫歯リスクが高くなります。
また、噛み合わせの負荷が強くかかる奥歯には強度のあるメタル(銀歯)しか使えませんが、条件によってはハイブリッドセラミック(歯科用樹脂+セラミック)を使用したメタルフリー治療も行うことが可能です。
すべて白い素材で作るメタルフリーのブリッジは、強度上の問題から奥歯=第二大臼歯(前から7番目の歯)が上下左右4本ある場合に限り、第二小臼歯(前から5番目の歯)に対してのみ適用できます。なお、金属アレルギーの方(証明が必要)は、第一小臼歯~第一大臼歯(前から4~6番目の歯)も対象となります。また、前歯(前から1~4番目までの中切歯から第一小臼歯)に対しては、表面だけ白い素材(ハイブリッドセラミック)にして、内側の強度を高めるためメタルにしたブリッジを使用することが可能です。

抜歯+入れ歯(歯科用樹脂の人工歯と義歯床および金属製の留め具)

抜けた歯の両サイドに健康な歯がない場合、多くの歯を失ってしまった場合、ブリッジ治療を行いたくない場合などに行います。保険診療で作る入れ歯は、自己負担金を抑えて最低限噛むことができるようにすることを目的としているため、入れ歯の土台となる床(しょう)や人工歯には歯科用樹脂、留め具には金属素材といった制約があります。強度の問題から全体的に厚みがあるため、違和感や痛みを覚えることがあります。

インプラント

“歯を失った部分の歯肉を切開し、人工の歯根(インプラント)を埋め込んだ後、土台を建ててからクラウンなどの被せ物を固定します。病気や事故などで広範囲に渡って顎の骨を失ってしまい、ブリッジや入れ歯などでは回復が難しいと診断された場合など条件を満たせば、保険診療でインプラント治療(正式名:広範囲顎骨支持型装置および広範囲顎骨支持型補綴)が可能です。ただし、国に認可された医療機関(主に歯科大学病院など)でのみ治療可能です。
※保険診療でインプラント治療を行う場合には、対応医療機関へ適宜ご紹介させていただいております。

自費診療

特に詰め物や被せ物の素材に金属を使わない「メタルフリー治療」は、安全性だけでなく実用性と美しさを兼ね備えているので、おすすめです。

審美的ダイレクトボンディング(即日直接修復)

虫歯部分を削ってから、白いペースト状の修復材(歯科用樹脂)を直接、患者様の歯に詰め、特殊な光で固めます。あまり大きな虫歯の治療には適しませんが、見た目の良さ(審美性)を保ちながら、歯を削る量を少なく済ませることもできるので、結果的として歯の寿命を伸ばすことに繋がります。
また、保険診療で使われる歯科用樹脂は白色ですが透明感などはなく、自費診療で使われる素材は色調の種類が多く粒子も細かいので、患者様一人一人の歯の色や質感により近づけることが可能です。ただし、保険診療の素材に比べると変色しづらい素材を使用していますが、経年劣化により変色や境目の着色が起こることがあります。

セラミック・ジルコニア修復(詰め物・被せ物)

詰め物や被せ物の素材に陶器のような材質の「セラミック」や人工ダイヤモンドとも呼ばれる「ジルコニア」を使用します。見た目の良さはもちろん、天然の歯に近い光沢と白さがあります。また、保険診療の素材に比べて耐久性が高く、金属アレルギーの心配がない、歯としっかり接着できるので、劣化から隙間が生まれ細菌が入り込むことによる「二次虫歯」リスクを抑えることが期待できます。見た目の良さ(審美性)はセラミック>ジルコニア、硬さはジルコニア>セラミックです。

精密根管治療+ファイバーポストコア(土台)+セラミック・ジルコニア(被せ物)

自費診療の根管治療では痛みを抑える対症療法だけでなく、「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」や「ラバーダム」も使用して、根管の再感染(再発)や炎症リスクを下げることにも注力した治療が行えます。また、弾性に優れて歯根の破損がしにくいグラスファイバー(繊維強化樹脂)素材を使用した「ファイバーポストコア」の土台やセラミック・ジルコニアの被せ物が選択できるので、天然歯のようにしなやかで強く美しい歯を保つことができます。

インプラント

歯を失った部分の歯肉を切開し、人工の歯根(インプラント)を埋め込んだ後、土台を建ててからクラウンなどの被せ物を固定します。ブリッジのように両隣の健康な歯を削る必要はなく、1本~すべての歯を失った場合まで、さまざまなケースに幅広く対応することが可能です。また、ぐらつきや外れる心配もなく、天然歯のようにしっかり咬むことができます。ただし、外科手術となるので事前検査や定期メンテナンスなど通院回数が多いこと、治療費が高額となることなどデメリットもあります。

抜歯+ブリッジ(セラミック・ジルコニア)

歯根から完全に歯を失った場合、両隣の健康な歯を削って土台にし、橋を架けるように被せ物をして人工の歯を固定します。1~3本程度の欠損ならば治療可能ですが、両隣に健康な歯が残っていることが条件になります。自費診療では人工歯の素材に「セラミック」「ジルコニア」を選択することが可能です。どちらも天然歯に近い透明感や耐久性、変色しにくさがありますが、両隣の健康な歯を削ることによる虫歯リスクが発生します。

抜歯+入れ歯

自費診療の入れ歯は、自由に素材を選ぶことができます。金属バネがなく入れ歯と分かりづらい「ノンクラスプデンチャー」を選択できたり、患者様のご要望に合った細かい使用感の調整をしたりすることが可能です。それゆえ、治療費が高額となる、入れ歯作製に時間がかかるデメリットもあります。

まとめ

平和台駅前みやた歯科院長、宮田知和医師より

虫歯は虫歯菌が作り出した酸によって、歯が少しずつ溶け出していく進行性の病気です。放置すればするほど、痛みや歯のダメージは大きくなります。できるだけ痛みがない初期の段階で発見・治療することが理想ですが、すでに「痛みがある」「穴が開いている」「銀歯など詰め物・被せ物が取れた」など思い当たる症状がある場合には、速やかに受診して治療するようにしましょう。
とはいえ、歯科医院への足取りが重たくなる方もいらっしゃいますよね。
私自身も歯科治療が苦手だった経験から、当院では痛みを軽減する治療、できるだけ歯を削らずに行う治療(MI治療)、治療内容など丁寧にご説明して患者様にご納得いただいてから治療を進めることをコンセプトとして、患者さまが安心して治療に臨めるような環境づくりに取り組んでいます。
また、当院では海外のスタンダード治療となりつつある、金属を使わない「メタルフリー治療」に注力しています。昔から保険診療の素材としてメタル(銀歯)は使用されてきましたが、経年劣化による銀歯の内側での虫歯「二次虫歯」や金属アレルギーなど全身に悪影響を及ぼすことが問題となっており、最近、日本でも保険適用でのメタルフリー治療の対象範囲が拡大されました。銀歯からのメタルフリーへの入れ替えも行っていますので、お気軽にご相談ください。
そして、「虫歯」が原因で歯を失う方もいらっしゃいます。当院では失った歯の代わりとなる治療「インプラント治療」にも注力しています。インプラントは見た目の良さだけでなく、天然歯のようにしっかり噛むことができます。さらに周りの健康な歯に負担をかけずに治療できるので、結果的にご自身の歯の寿命を長く保つことに繋がります。術後も定期的なメンテナンスを行って、できるだけ長くご使用いただけるようにサポートを行っています。お気軽にご来院ください。